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さて、「進路指導」について、前回のように「各自の理想」や想いを書いてもらうと、そこには「共通したイメージ」がある。それをさらにはグループ単位で話し合いをさせたり、意見交換をさせてみたり、また全員にフィードバックすることで、その「共通したイメージ」を確認させることができますね。もちろん、「違った考え方(意見)」もある。そういうのから相互に刺激をうけたり、考え深めていこうとの意識を強めることも可能かとは思います。何よりも、まずは「意見を言える環境づくり」を授業では意識していきますし、どういう順序ですすめたり、仕切っていけば「話しやすくなるのか」ということも(それ自体を)「方法論」としても教えていきます。 ただ、想いや発想だけではまだ十分ではないのですね。教えるべき内容、知識、考え方、技術もあります。例えば『「ニート」って言うな!』で本田氏が指摘しているような「個人がある程度の自律性を備える」ための内容も必要ですね。●世の中にどんな仕事があるのか ●労働者の権利 ●仕事探しのノウハウ ●基礎的なITスキル などとされていますが、こういうものが必要とされていること自体を教えますし、スキルも教えるわけです。 授業では様々なテキストやデータをとりあげますし、また新しいものへと更新し続けていきます。4月からの授業では前に書いた『「ニート」って言うな!』もとりあげながら考えていきますが、それ以前のものも読み込みながら進めていくつもりです。 例えば、本田氏も指摘する「若者の就労が問題視されるようになったころ」の著作のうち、話題になったものとして、村上龍『13歳のハローワーク』(幻冬舎、2003年)があります。次の部分に、その当時の問題意識や「感覚」(理解)があらわされているのではないでしょうか。 子どもは誰でも好奇心を持っています。好奇心は、大人になって一人で生きていくためのスキル(専門的な技術)や、そのための訓練をする上で、非常に重要になります。大人は、子どもの好奇心を摘まないようにして、さまざまなものを選択肢として子どもに示すだけでいいと思います。簡単ではありませんが、大人に好奇心があって、好奇心を持って生きることがどんなに楽しいことかを子どもに示すことができれば、子どもは自然に好奇心の対象を探すようになります。子どもが、好きな学問やスポーツや技術や職業などをできるだけ早い時期に選ぶことができれば、その子どもにはアドバンテージ(有利性)が生まれます。 この本は、好奇心を対象別に分けて、その対象の先にあると思われる仕事・職業を紹介しようという目的で作りました。 (以上、3ページ) でもこの本は、こういう仕事につきなさい、こういう仕事がいいんですよ、と指示をしたり、職業を勧めたりするための本ではありません。その人の特性、つまりその人の個性や資質、その人しか持っていないものは、わたしにはわかりません。自分で探すしかないのです。ですから、この本では選択肢だけを示しています。 (4ページ) 経済の変化の影響で、経営の方法や、雇用の形が劇的に変化しました。高度成長のころは、ほとんどすべての企業が大変な利益を得ることができたので、ある会社に入社した人は、だいたい一生その会社で働くのが常識でした。利益があったのでリストラする必要がないし、商品や製品は爆発的に売れ続けたので、毎年毎年新入社員が必要でした。今は、違います。非常に変化が厳しく、企業間の競争も厳しいので、一つの会社で一生勤める、という原則が崩れようとしています。どこか大きな会社に入社できたらもう安心、という時代ではなくなっています。大企業でも、倒産したり、借金を棒引きにしてもらったり、税金を注入してもらったりする会社がたくさんありますから、中小企業はもっと大変です。公務員はどうでしょうか。官庁や役所は国や自治体が経営しているので大丈夫だろう。そう思うのは、間違いです。これからは、借金が返せなくてパンクする自治体が増えます。また国家財政は火の車ですから、いずれ公務員は大量に減らされ、残った人も給料がカットされ退職金ももらえなくなるという時代が来るかも知れません。 いい大学に行って、いい会社や官庁に入ればそれで安心、という時代が終わろうとしています。それでも、多くの学校の先生や親は、「勉強していい学校に行き、いい会社に入りなさい」と言うと思います。勉強していい学校に行き、いい会社に入っても安心なんかできないのに、どうして多くの教師や親がそういうことを言うのでしょうか。それは、多くの教師や親が、どう生きればいいのかを知らないからです。勉強していい学校に行き、いい会社に入るという生きかたがすべてだったので、そのほかの生き方がわからないのです。 どう生きるか。それはむずかしい問題です。いろいろな考え方があるでしょう。しかし、ここにシンプルで、わかりやすい事実があります。それは、すべての子どもは大人になって、何らかの仕事で生活の糧を得なければならないということです。 (5〜6ページ) 2種類の人間・大人とは、自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ている人と、そうではない人のことです。そして、自分は何が好きか、自分の適性は何か、自分の才能は何に向いているのか、そういったことを考えるための重要な武器が好奇心です。好奇心を失ってしまうと、世界を知ろうとするエネルギーも一緒に失われます。 (7ページ) 村上は「価値観」や「社会構造」の変動があるから、子どものころからの意識づけで「将来」を見据えていきていけるためのカタログづくりを試みたといえるでしょうか。 ちなみにweb上で、「大人のための実践!『13歳のハローワーク』」(http://www.hellow-sigoto.com/)も活用できます。(つづく) |
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